【徹底解説】マイクロ法人の6つのデメリット

社会保険料はどんどん高騰し、もらえる額は減る一方です。そんな中、マイクロ法人を使って少しでも健康保険料や年金支払額を少なくするという方法が広まっています。
しかしあまり議論されていないデメリットがあるなと考え、この記事で発信してみたいと思います。税理士目線でなく事業主目線でメリットデメリットをしっかり考えていきたいです。

6つのデメリット

銀行口座が作りにくい・手間が多い・手数料が高い

まず、法人名義の銀行口座は非常に作るのが困難です。10行まわって、数行しか相手にしてもらえなかったという話もよく聞きます。さらに手数料も個人よりも高くなりがちです。
毎月○回までは手数料無料みたいなのも法人ではありません。驚くべきなのはメガバンクの不便さです。有料会員にならなければネットバンキングをすることもできず、自分の口座の履歴を確認するにも平日昼間に窓口に並ばないといけないということです。

UFJ銀行 ネット銀行(SBIネット銀行など)
振込手数料(他行) 660円 145円
コンビニATM手数料 220円~ 110円
ネットバンキング使用料 月額1780円~ 無料
社会保険引落 できる できない

社会保険の支払いはなぜかネット銀行では不可能でメガバンクを使わないといけないというのが苦しいところです。

会計処理の手間が大きい

毎月の役員報酬は自分で銀行振り込みをしなければなりません。そしてそれに伴い源泉徴収した所得税は税務署へ、社会保険は保険協会に支払わなければなりません。
仕事を個人の方に外注したなら、報酬の一部を源泉徴収をして毎月支払う必要がでることもあります。一年に一回年末調整を行う必要があります。
振り込みは手数料がかかってしまいますが、それ以上に金額や日付を間違えたり忘れたりしないように気をつける必要があり、細かい手間が頻繁にかかってしまいます。

また、個人の確定申告とは別に、会社の決算期ごとに会社の確定申告をしなければなりません。銀行口座、クレジットカード、現金帳簿をそれぞれ個人と会社と用意して管理していく必要があります。
単純に財布の中身が増えますし考えることも増えてしまいます。

この手間の分自分の本業の時間が減ってしまうことを考えると一番大きいデメリットかもしれません。

住所が公開される

登記した会社の住所は簡単に第三者が知ることができます。また代表の住所も法人登記情報から調べられてしまいます。企業の代表取締役となるには私人ではなく公人となる覚悟が必要です。

あらゆるアカウントは法人だと不便

クレジットカード、携帯電話契約、サーバー契約などは法人名義で契約することができますが、ほとんどの場合個人よりも損で手間もかかる事が多いです。例えば携帯電話は個人では多くの場合ネットでプラン変更など可能ですが、
法人名義の場合、登記簿謄本などをとってきて窓口に並ばなければなりません。ahamoなどお得なプランも法人名義では選ぶことができません。
法人で使用するからと言って必ず法人名義にする必要はないので、一人会社ならなるべく個人名義で運用するのがよさそうです。

税理士費用・住民税・会計ソフト代・銀行手数料がかかる

会社を持っているだけで最低限次の費用が追加でかかってしまいます。

年間費用
税理士費用 10万円~60万円程度
法人住民税(赤字でも支払う) 7万円
会計ソフト代 約1万円
銀行手数料 約1万円

節税メリットはそれほどない

会社の売り上げを小さく抑え、役員報酬を少なくすれば社会保険を減らすことができます。しかし、所得税・住民税の節税という意味で言えば個人事業主でできることと大きく変わらないように感じます。

会社法人が個人に比べて唯一できる大きい節税策は出張費で日当を出せるというところかもしれませんが、そもそも出張に頻繁に行くという業務内容だとあまりたくさん使うことはできません。

まとめ

やはり管理や事務の手間がかかってしまうのが一番大きいと感じます、その上でお金がかかる面もあります。総合的に考えて健康保険料・年金を削減する以上のメリットがあるのかどうかじっくり考えた上で判断したいところです。
この記事が参考になれば幸いです。

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